チョコベリーの暮らしをちょっと豊かにするブログ

3児育児中のワーママです。ライフハック、子育てなど暮らしを豊かにするヒントや気づきを綴っています。

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「対岸の家事」を読みました。家事は重労働であり、引き継ぎと制度のバグを直すことが大事と学んだ話

「対岸の家事」を読みました。専業主婦で一児の母の詩穂、ワーキングマザーの礼子、育休中の男性・中谷を通じて、家事とは何かについて考えさせられる小説です。

 

家事と言えば、女性がおこなうものという意識がありますよね。最近は男性もおこなうようになってきましたが、まだまだ家事は女性の労働であるという意識が根強いです。そんな状況に対して一石を投じるこの小説。すごく共感しましたし、多くの方に読んでほしいと思いました。

 

家事が大変!仕事と育児の両立が難しいと感じている方に読んでほしいのですが、本当は家事をあまりしたことがないような高齢男性に手にとってほしい。どれだけ家事に負担があるのかがよくわかりますし、おそらく体験したことないであろう育児と仕事の両立の難しさも見えてきます。多くの方に手にとってほしい「対岸の家事」について紹介しますね。

  

 

家事をおこなうにはコミュニケーションが重要

 

主人公の詩穂は小さい頃に母が亡くなり、父からすべての家事をさせられるようになりました。勉強は大丈夫か?と父は聞くものの、一切の家事を詩穂にまかせっきり。まったくおこなおうとしないことから、詩穂は高校生でそっと家をでます。父には何も言わずに。

 

ここでまず思うのが、お父さんと会話をすることができなかったのだろうかということ。でていくことになってしまうなら、その前に詩穂の気持ちを父にぶつけてもよかったのではと思います。この本では詩穂は高校生ですし、ストーリーからそのような設定になっているのだと思いますが、コミュニケーションの大切さを実感します。

 

コミュニケーションというと、夫婦間のコミュニケーションも大切ですよね。会話をしないと、思っていることが自分の中で積もり積もって、一気に爆発!なんてことになりがちです。日頃から、パートナーと話す時間をもつことは大事だなと、詩穂の事例から感じました。

 

家族間のコミュニケーションって大事!

 

男性でもやろうと思えば家事はできる。仕事が忙しいは言い訳

 

家を出た詩穂はそのまま実家に帰ることなく、結婚し、一児の母となり、専業主婦になります。夫は居酒屋の店長を勤めているので、帰宅が遅く、ゆっくり話をする時間がありません。周りは働く女性ばかりで、詩穂は話し相手が誰もいません。

 

「誰かと話をしたい。」そう思って娘といつものように公園にいき、出会ったのが育休中の男性・中谷。国土交通省に勤め、2年の育休を選択し、妻と順番に育休を取ることを選びました。中谷は冷静沈着で、思ったことをストレートに言うタイプ。


・低成長、超少子高齢化。この時代に、女性を家事に専念させるような贅沢をさせる余裕がもうこの国にはない。
・リスクヘッジとして共働きにしておくのが無難。
・男性が仕事しながら家事ができないのはキャパシティーが低いだけの話。家事と仕事の両立には、マネジメント能力が必要。仕事が忙しいというのは言い訳。

 

これ、全部中谷の言葉なのですが、まーばっさり!特に、男性でも家事はできるはず。家事ができないのはキャパシティーが低いだけ。仕事が忙しいというのは言い訳だという言葉には、なんか共感してしまいました。

 

だって、女性だって家事をしながら仕事をしているわけです。ポジション的には同じはずなんですよね。でも、女性が家事をするものだという固定観念があるから、どうしても家事が女性よりになってしまう。すると、より男性は家事をしなくなり、また女性の家事が増える・・・という悪循環が回っているように思いました。

 

男性でもやろうと思えば家事はできます。ただ男性側に重要な仕事が与えられがちなのも事実。でも、育児、家事という重労働も大事な仕事の一部であり、男性の役割です。現在は少しずつその認識が広まってきていますが、より定着して、中谷のように育休を取る男性が増えていくといいなと思いました。実際に育児をし、その大変さを身をもって体験することで、理解は深まると思います。

 

子供を産み、フラフラになりながら育てている母親たちの家庭内での労働を評価シートにつける事は無い

 

ワーキングマザーの礼子は、専業主婦の詩穂の隣に住んでいます。2児がおり、認可がおりずにそれぞれ違う保育園になったことから、仕事と園の送迎でいっぱいいっぱい。今までやりがいあった仕事も、育児によって配置換えになりました。

 

今は変わってきているかもしれませんが、私が長男を保育園に送迎しているときも、兄弟を異なる保育園に入れてらっしゃる方がいました。保育園が満員のため、別の保育園に預けざるを得なかったのです。ほんと、これがどれだけ大変なことか!あっという間に送迎だけで時間が過ぎてしまいます。

 

礼子は雨が降りませんようにと願う。次の朝は雨で、レインコートや長靴をだし、子供たちに支度して、自転車に乗せて、雨の中なんとかこいで送迎する。終わらない仕事は持ち帰り、寝かしつけたあとに仕事をする。夜間も授乳があり睡眠不足。急な子どもの体調不良に落ち込み、仕事をどう対応すべきか悩む。こんなふらふらになりながら育てている母親たちの家庭内での労働を評価シートにつけることはない。

 

うわー、本当に共感!!

 

仕事で働けば評価シートがありますが、子どもをふらふらになりながら育てているのにそれは評価シートがつきません。日本は少子化で大変だといいながら、今後重要な労働力となる子どもを育てる環境が、育てにくさを感じる状況なのはなぜだろうかと思います。

 

礼子は子育ての大変な状況を、職場に話せずにいました。後輩の男性、今井は独身のため、子どもを育てる大変さがわかるはずがないと思っていたからです。ところが、とあることをきっかけに、礼子は今井に今の大変な状況を話すことになりました。

 

そこで後輩の今井がいった言葉。「無理ゲーだな。」今井はゲーマーでもあったため、礼子の状態をそう表現しました。つまり、攻略不可能な無理なゲームをさせられているということ。そして、クソゲーが嫌なら設計側に回り、バグは自分の手で消さなきゃいけないといいます。家事労働をする人みんなでこの業界を育てていかなきゃいけないと。

 

本当にそのとおり!

 

子どもを同じ保育園に預けられるような制度が必要ですし、子どもの体調不良でも休みが取りやすい環境が必要です。少子化の日本をなんとかしたいなら、働く母親のふらふらな状況を変えるような制度や環境がないと本当に無理ゲーです。そのために、働く母親たちで力を合わせて声を上げて、バグを直していく働きかけをしなければならないと思いました。ただ、働く母親は忙しすぎて、声をあげるひまなんてないんですよね。ぐっと我慢して寝不足を乗り越えるしかない。でもそれではいけない。大変だったら声を上げなければと思いました。

 

家事は重労働。家事の引き継ぎをしなかった側にも責任がある

 

専業主婦の詩穂は、自分が父の身の回りの世話をすべてしなければならなかったことを、母の仕返しだろうかと考えます。家に帰ったらご飯ができていて、お風呂は沸いていて、ふかふかの布団があって、ぬくぬく育った私への母からの復讐なのだろうかと。

 

そして、考えます。昔は男は家事をしないものだった。今は中谷がいうには家事ができない男は能力の低い男ということになっている。でもそれは父の責任だったんだろうか。

 

つまり、父に家事を教えなかった母にも責任があるのではないかと考えるのです。母は、自分でやった方が早いから父には家事を教えてこなかった。アイロンのかけ方も、料理の仕方も、洗濯の仕方も教えずに、すべて母がやっていました。それが母の仕事だからということもありますが、母が父に何も教えてこなかったんですよね。

 

ワーキングマザーの礼子はいいます。母が父を甘やかしすぎたのも悪いよね。これが職場の仕事だったら、引き継ぎをちゃんとしなかったってことでしょう。自分がいなくなった後の事まで考えて、他部署の人につきでは伝えておくようにしないとマネジメント上まずいよね。

 

 

確かに、マネジメントとしてよくない!

 

仕事であれば、自分がやっていることを他の人もできるように、引き継ぎ資料をつくっていたります。でも、家事にはそれがない。またはそれをしようとしないから、母だけの仕事になってしまっているともいえます。

 

父や夫が何もしない。もしもそう感じるならば、家事はこうやるんだよと見せたりしながら、きちんと引き継ぎする時間をとることが大切だと思いました。ふかふかの布団があるのが当然だと思うのではなく、それを干してくれいている人がいると考えて、感謝したり、手伝ったりすることが大事ですね。

 

日本という国は、家事をやったことがなさそうな人たちが作っている

 

この本の筆者の朱野帰子さんは、あとがきでいいます。「専業主婦に頼れないその世界で私たちはどうやってやりくりしたらいいんだろう。家事をやったことがなさそうな人たちが作っている、この日本と言う国で。

 

そうそう!日本の政治家は高齢の男性ばかり。いってはなんですが、家事をやったことがなさそうな方ばかりです。男は仕事、女性は家事。そういう時代だったからといえばそれまでですが、今の時代は違います。女性も仕事にでるようになりました。しかし、家事や育児は女性の担当になりがちですし、そういう考えを持った方がまだ多くいらっしゃいます。

 

社会の制度を作る政治家という仕事の場こそ、もっと女性が進出してほしいと思います。制度が変わらなければ、環境も変わらないことが多くあるからです。そして、仕事をしながら育児をするということがどれだけ負担が大きいことかは、それをやったことのある人でないとわかりません。

 

生きていく上でどうしても必要な家事という仕事。食事を作り、お皿を洗い、掃除をし、布団を干す。そんな当たり前のことをしてくれる人がいれば、なんて楽なことでしょう。私も自分でおこなっていると負担に感じることがありますが、夫がやってくれていて、その姿を見ていないと、いつの間にかやってくれたと思いがちです。家事が重労働ということを改めて認識し、だからこそ、それをおこなってくれる方には感謝しないといけないと感じました。家事について改めて考えることができる良い本でした。是非手に取ってみてくださいね。

 

 

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