チョコベリーの暮らしをちょっと豊かにするブログ

3児育児中のワーママです。ライフハック、子育てなど暮らしを豊かにするヒントや気づきを綴っています。

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「opution B」を読みました。どんなに辛い環境にあっても、それを乗り越えるレジリエンスがあると学んだ話

「opution B」(オプションB)を読みました。この本には、すごく辛いことが起きたときにどう対処したらよいかレジリエンスを育む力について書かれています。

 

「レジリエンスって何?」そう思う方もいますよね。私は、とにかく苦しみに耐える力だと思っていました。でも、そうではないそうです。レジリエンスとは、逆境が襲いかかってきたときに、どれだけ力強く、すばやく立ち直れるかを決める力なのだそうです。

 

この本を書いたのはFacebookの最高執行責任者をつとめていたシェリル・サンドバーグ氏と、その友人でありペンシルベニア大学の経営学・心理学教授のアダム・グラント氏。シェリル氏は、「LEAN IN(リーン・イン)」という女性と仕事、リーダーへの意欲に関する本を書くほど熱意にあふれた女性です。ところが!とある悲劇が彼女を襲い、絶望的な日々を送ることになるのです。

 

その絶望的な日々を、二人の子どもとどうやって過ごしていったのか。それとともに、同じように恐ろしい逆境にあった方々のたくさんの経験談を通して、レジリエンスを育むための教訓を学ぶことができる本になっています。この経験談はあまりに残酷で、私自身読み進めることが難しく感じることもありました。それでも読み進めることで、こんなに辛い想いをされた方もいるのだと理解することができました。

 

大切な人を失う、思いがけない病・事故・事件が起きる。突然の出来事は、誰しもおきる可能性があることです。そんな悲劇は起こらない方がよいですが、もしも起きてしまったときに、どうしたらよいのか?一緒に学んでいきましょう!

  

 

シェリルの辛い出来事の始まり

 

著者であるシェリルは、友人の誕生日をお祝いするために、夫のデーブとメキシコへいきました。デーブはジムへ行くといってでたきり、帰ってきません。大急ぎで探すと、なんと!デーブはジムの床に倒れています。トレーニングマシンのそばに横たわり、頭の下に小さな血だまりができていました。

 

想像するだけで恐ろしい!

 

大切な人が思いがけずに倒れていたら、とてもとてもショックだと思います。シェリルはとっさに心臓マッサージを始めます。すぐに病院へ運ばれましたが、医者からの言葉は残念な言葉でした。

 

ああ、とても信じられない。。。

 

シェリルは悲しみに打ちひしがれます。デーブは冠動脈疾患を原因とする心不整脈で、数秒のうちに亡くなったということがわかりました。

 

これがわかったとき、私は、誰かに殺されたり、長年病によって苦しんで亡くなるのでなくてよかったと思ったんです。もちろん、この考え方は単なる気休めにしかならないということは重々わかっています。でも、第三者の立場として見ているので、そう思うことができました。しかし、当の本人であるシェリルは、簡単に気持ちを切り替えることができません。

 

シェリルは、絶望の日々を送ります。どうしてデーブがいないのに、みんなは普通に暮らしていけるの?筆者の悲しみが語られ、それを折りまじえながら、多くの悲劇に見舞われた方の体験段が記載されていきました。多くの方の悲劇は、読むのも辛くなるほどでした。でも、その人が語ってくれることから学びが多くあると感じたのも事実。ここからは、私が特に印象に残った出来事と、その乗り越え方を紹介します。

 

もっと悪いことにならなくてよかったという考え方

 

夫のデーブを亡くしたシェリルは、Facebookでの最高責任者としての仕事も今まで通りにできなくなります。何をしていても、デーブのことが頭を離れません。

 

そんなとき、アダムがシェリルにこう声をかけました。「もしも子供たちと車に乗っているときにデーブが倒れたら、子どもも一緒に亡くしていたんだよ」。この言葉に、シェリルははっとしました。この考え方は、もっと悪いことにならなくてよかったという考え方です。この言葉によってシェリルが救われたわけではありませんが、絶望が少し和らいだことを書いています。

 

また、マッキンゼーで同じプロジェクトになったバイロンのストーリーが紹介されていました。15歳の時、夕食を食べに家族で歩いていると飲酒運転の車がいきなり突っ込んできたそうです。バイロンは両足を骨折。父は昏睡状態で、10歳の弟が亡くなりました。嘆き悲しむ母をこれ以上困らせまいとバイロンは誓ったそうです。この経験から、仕事のプロジェクトがうまくいかないとき、もっと悪いことにならなくてよかったと考えようになったといっていました。家族の喪失と仕事のプロジェクトではすごい差がある出来事ですが、悲しい体験を自分にとってよい方向になるように考えを切り替えている事例だと思いました。

 

絶望するほど悲しい出来事が起きたとき、これ以上に悲しい出来事はないと考えます。私も、その悲しい出来事で頭がいっぱいになってしまって、こんなことが起きなければ良かったとしか考えることができませんでした。けれど、そこで立ち止まるのではなく、もっと悪いことになっていたらどうだったかと考えることは、絶望から気持ちを和らげる方法になると思いました。

 

感謝の念を強くする考え方

 

感謝の念を強くする考え方として、ブルックとその友人メネディスのストーリーが紹介されています。ある日、メネディスは脇の下に小さなしこりを発見します。まだ34歳でしたが、念のため検査を受けたところ、乳がんのステージ4だとわかったのです。ブルックはメネディスを支えながら、自身も念のためと検査を受けました。その結果、メネディスとおなじステージ4の乳がんだとわかったのです。

 

2人は一緒に化学療法をうけ、ブルックは治療に反応しましたが、メネディスはすでに肝臓に転移していました。メネディスは3年後に亡くなります。ブルックは寛解期に入ってから7年。体力だけでなく、メンタルも強くなりました。メネディスのおかげで私は救われた。些細なことで悩まない。そんなことなんでもない、こうして生きていられるんだから。感謝を深めて過ごしているそうです。

 

自らが死に近いことを体験すると、こうして生きているだけでありがたいと感謝の念を抱く方が多いと思います。しかし、どうして私がこんなことにと考えてしまうこともあるでしょう。眠れない日々になり、過去にああしなければよかったと後悔の念がでてくると思います。そうではなくて、感謝の気持ちを強くして生きることが、レジリエンスを高め、よりよい生き方につながると感じました。

 

辛い治療を経験している最中には、なかなか感謝の念を抱きにくいのではとも思います。けれど、辛い気持ちを前面に出す道を選ぶか、何か感謝を見つけて過ごす道を選ぶかは、自分が選択することができます。この気持ちを選ぶということは、和田裕美さんの「陽転思考」につながると思いました。「陽転思考」とは、何か辛い出来事が起きたとき、そのままずっと悲しむ道を選ぶか、気持ちを切り替えて進む道を選ぶか、自分がチョイスするという考え方です。

 

悲しみに襲われているときは、そのことで頭がいっぱいになり、他のことが考えられなくなっています。それでも、感謝の気持ちを選んで生きる道がある、自分で選ぶことができると知っていると、ダークサイドに落ちたとしても、もう一度這い上がる方法を見つけ出すことができるのではないかと思いました。

 

人が苦難から立ち直るための「3つのP」の考え方

 

本では、他にも辛い体験をした方のストーリーが語られていました。NPO法人で働こうと思っていたところレイプされた方、母が集団暴行を受けたことからマリファナに手を出し亡くなった方、子どもをベビーシッターに殺害された方・・・。本当にもう読むのが辛いと思ったほど。それでも、これだけ不運に見舞われた方がいて、それぞれに暗闇の中からなんとか前に進む道を見いだしています。心理学的な視点も交えながら説明があるので辛いことから前に進むための方法が参考になります。

 

特によくでてくるのが、「3つのP」の考え方です。心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのようにして対処するかを研究し、「3つのP」が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにしています。「3つのP」とは以下の3つを言います。


・自責化(Personalization:自分が悪いのだと思うこと)
・普遍化(Pervasiveness:あるできごとが人生のすべての側面に影響すると思うこと)
・永続化(Permanence:あるできごとの余波がいつまでも続くと思うこと)

 

つまり、辛い出来事に遭った人は、「自分が悪い」と考え、「これが人生のすべてである」と思い、「永遠に続く」と考えることによってずっと苦難の状況から逃れられなくなってしまうそうです。これは、理由を聞けばわかりますが、自分が望んでいなくても頭から離れなくなってしまうことがあると思います。もう、脳がそのことしか考えられなくなっているのです。

 

そういうときに、辛い出来事が「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子どもも大人も立ち直りが早くなることを多くの研究が示しているそうです。脳が同じことばかり考え、立ち直れないときにこの「3つのP」を思いだし、「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」と意識を向けることは、生きる希望につながるのではと思いました。

 

完璧な人生はあり得ない。オプションBを使い倒そう

 

シェリルは、夫のデーブが突然亡くなってから、デーブが参加するだったはずの父と子の催しについて、誰が代わりにお願いするかについて友人と話し合っていました。そのとき、つい「でも、デーブにいてほしかった」と弱音を吐いてしまいます。すると、友人はいうのです。「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションBをとことん使い倒そうじゃないか」。

 

完璧な人生なんてあり得ない。だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。この本は、だれもがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本である。そう、シェリルは書いています。

 

完璧な人生なんてあり得ない!

 

オプションAが無理だと思ったら、オプションBを選ばざるを得ない。そして、それをとことん使い倒すという考え方は、絶望的な日常にも光が差すような言葉だと感じました。

 

本の中では、悲嘆に暮れながらも仕事に打ち込もうとするシェリルに対して、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏やその妻や、起業家のイーロン・マスク氏が慰めの言葉をかけてくれるシーンも紹介されています。特に、イーロン・マスクは最初のお子さんを2ヶ月半で亡くしているそうです。そんな悲しい出来事があったとは!とびっくり。そして、こうした大物と普通に会話ができるシェリルを改めてすごいと思いました。

 

そして、本を通じて私が思うのは、そもそもどうしてこんな悲しい出来事が起きてしまうのかということです。こんな辛い思いを経験することなく、のんびり、普通に暮らしている人もいるはずです。この違いは何なのか。運なのか、運命なのか、心の持ちようなのか・・・。考えても答えはでませんが、やっぱり運が大きいと思えてなりません。結局全てが決められていると考えるとスピリチュアルみたいですが、やはり自分ではどうしようもない大きな力というのもあるように思います。そんな中で、何が起きたとしても思考の転換をすることが大事であり、それができた人が幸せになれるのだろうと思います。

 

辛い出来事は誰にも突然降りかかる可能性があります。そんなときに、「3つのP」の考え方や心構えをもっておくことで、突然の災難にもそのときのベストな対処がどれるのではないかと思いました。できることならば、全ての人が健やかに生きていけますように。そう願わずにはいられません。

 

最後に、シェリルは現在どうしているのか?なんと、現在は再婚しているそうです。お相手には3人の子どもがおり、シェリルは自分の2人の子どもを含めて5人の子どもの母になっているそうです。あんなに夫、デーブを亡くして悲しんでいたのに。そう思う方もいらっしゃるでしょう。私もそうでした。でも、きっとシェリルは人を愛する気持ちを深く持てる方だからこそ、デーブを亡くして絶望的な日々になるほど辛い日々になり、だからこそ、また心から愛せる人に出会えたように思います。

 

人生には、突然思いも寄らないことが起こることがあります。そんな時に、生きる指針となる方法を授けてくれる本です。また、自分ではなく、周囲の人が悲しみに襲われているときに、どのように接したらよいかについても詳しく書かれています。これからの人生に役立つことが多い本ですので、是非手に取ってみてくださいね。

 

 

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