「失敗の科学」(マシュー・サイド)を読みました!
「失敗との向き合い方」について、考えさせられる本でした。
印象に残った点について紹介します。
1.失敗をマネジメントする
本書は、手術すれば治るといわれていた簡単な手術で死亡してしまった女性の話から始まります。
担当医は、その医療ミスについて公開しませんでした。
反対に、航空業界を見てみると、異なるアプローチがとられています。
航空業界では、不測の事態はいつでも起こりうるという認識があり、失敗を共有する風土があるそうです。
死亡してしまった女性の夫は、パイロットでした。
夫は、なぜ妻が亡くなってしまったのか、何度も病院に説明を求めます。
その結果、何が起きていたのかという事実がだんだんとわかってきました。
最終的には、この病院に失敗を共有する風土が広がっていきました。
読んでいて、事実を説明しない医師に怒りを覚えました。
そして、夫が「パイロット」だとわかったときには、衝撃を受けました。
航空業界の失敗から学ぶ文化を、医療界にも広げようとする夫の姿が素晴らしかったです。
失敗から学ぶ文化が、多くの組織で広がるべきだと思いました。
そのためには、企業や組織に、ミスの報告を処罰しない風土が必要不可欠だと思います。
2.認知的不協和
「認知的不協和」とは、人が自分の信念や行動と、「新しい事実」の矛盾する認知を同時に抱えた状態のことをいいます。
自分が間違っているということを、エリートほど認められないという例がありました。
しかし、認知的不協和に陥るのは、エリートに限らず、一般的な人々にも起こりえます。
無意識で起こっていることもあるので、私自身も要注意だなと思いました。
「認知的不協和」を防ぐためには、自分にとっての不都合を受け入れる姿勢が大切だと思います。
努力しているときこそ、不都合なこともありうると認識し、受け入れる余裕を残しておくことを意識したいです。
3.問題を掘り下げて考える
「何でも単純に考えて、すぐに誰かを非難するのをやめよう。肝心なのは、問題を深く探って本当に何が起こったのかを突き止めることだ」
この言葉が、印象に残っています。
メディアからの情報の場合、取得できる情報は限られていて、どこまでも問題を掘り下げることはなかなかできないですよね。
例えば、何が問題が起ったとき、特定の個人を非難しがちです。
しかし、その人を持ち上げてしまうような環境があったとか、風土があったとか、個人以外の影響もあったのかもしれません。
単純に個人を責めて終わりにするのではなく、なぜそうなったのか考えることが大切だと感じました。
4.成長型マインドセット
成長型マインドセットとは、「能力は努力や方法で変えられる」という考え方。
固定型マインドセットとは、「能力は生まれつきだ」と信じる考え方だそうです。
成長型マインドセットの人ほど、あきらめる判断を合理的に下すという話が印象的でした。
できるまで頑張るというあきらめない力をもっているからこそ、成長できると思っていたからです。
成長型マインドセットをもつことを意識しながら、合理的な判断も必要だということも意識したいと思います。
以上が、本を読んで印象に残ったことです。
かなりショックなストーリーから始まりましたが、Kindle本を画面読み上げして聞いたので、最後まで読みすすめることができたように思います。
失敗に対する意識を変えることができる本ですので、おすすめです。