幼児教育無償化について、政府が検討を進めているのをご存じでしょうか。
日本は、超少子高齢化が進んでいる国ですから、子育て支援に力が入れられるのは、とてもよいことですよね。
しかし、幼児教育無償化は、本当に必要なことでしょうか?
確かに、あれば嬉しい制度ですが、その前に着手すべき問題があると思うのです。
それは何かといいますと、待機児童問題です。
昨年、「保育園落ちた日本死ね」という言葉が流行語大賞トップテンに入りました。
新しい命を授かりながら、厳しく、終わらない保活で困っている方々がいます。
この保活の状況は、まだ解決していません。
病児保育や小規模保育を運営されているNPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんが、次のブログを公開しています。
幼児教育無償化は、幼稚園業界への利益供与か(駒崎弘樹)
内容は、第32回子ども・子育て会議の場で、保育園関係者、親の立場の方々からは、
・無償化を先にしたら待機児童問題が悪化する。
・待機児童以外にも、学童保育等、全く足りない保育サービスがある。
という意見が相次ぎましたが、幼稚園団体からは
・幼児教育無償化が、保護者の最も高いニーズ
・10数年前から幼児教育無償化を要望してきた。安倍総理にも署名を渡して、今回前進したことは嬉しい。
という話があったそうです。
しかし、現代は専業主婦世帯より共働き世帯の方が多いのが現状です。
(平成29年版男女共同参画白書 概要版より)
そして、定員充足率(定員が埋まっている率)を見てみると50%未満という「ガラガラ園」の率は、私立保育所がわずか1.6%なのに対し、私立幼稚園は14%で保育園の9倍、国公立幼稚園に至っては26.5%で保育園の17倍という状況だそうです。
そのため、市場が縮小している幼稚園業界にとって、幼児教育無償化は救世主となっているのではとのことでした。
また、政府の無償化案は、3歳から5歳は完全無償化で、0から2歳は低所得層のみの無償化になっているそうです。
つまり、同じ無償化でも幼稚園に通う子は全面無償化で、保育園に通う子たちは半分だけ無償化ということになります。
扱いの違いが、こうした政治的関係性の違いによってもたらされるのだとしたら、それは果たして公正性が担保されていると言えるのかと、駒崎さんは疑問を呈しています。
私は、保育園業界VS幼稚園業界という構図を作りたいわけではありません。
ただ、現在、社会的にニーズは保育園の方が多いのに、ニーズが高い方がサポートされないのはおかしいと思うのです。
幼稚園は教育のため文部科学省、保育園は福祉のため厚生労働省と、担当省庁が分けられています。
子どもの健やかな成長という視点でみると、幼児教育は厚生労働省が一括で管理するようにすれば、このような問題は起きないのではと思ってしまいます。
話を駒崎さんのブログに戻しますが、この記事を読んで私が思ったことは、やはり声が大きい人たちが強いということです。
すると、その方向が違うと思ったら、そう思った人たちが声を上げていかなければならないのではないでしょうか。
「幼児教育無償化自体は良いのです。
だがしかし、かたや保育園に入れないで困っている親が、
病児保育を使えないで困っている親が、
夜間の預け先がなくて困っている親が、
学童保育が足りなくて困っている親が、
障害児を預けられずに24時間家に閉じ込もらざるを得ない親がいるのです。こうした最も弱い立場に人たちに保育を提供した上で、
経済的に厳しい状況にいる家庭から無償化していって頂けまいか。」
先ほどのブログにある、駒崎さんのメッセージです。
私も、強く共感しました。
Change.orgというオンライン署名で、次のキャンペーンが発足されています。
立ち上げたのは、希望する保育園にみんなが入れる社会を望んでいる方々です。
キャンペーン · 幼児教育・保育無償化は本当に必要な人から。圧倒的に足りていない保育の量と質の拡充を同時に! #子育て政策おかしくないですか #保育園に入りたい · Change.org
是非、困っている方々の声を聞いてください。
そして、応援いただけたらと思います。
子育てしやすい日本社会につなげていけるように。