育児にとても役立つ本を読みました。「去られるためにそこにいる」です。著者は田中茂樹さん。医師であり、臨床心理士の資格をもち、不登校などの子供の問題について親の相談を受けているカウンセラーでもあります。
筆者の妻も同じく医師であり、4人の男子の父。両親ともに遠方であったということから、とても大変な育児だったに違いないと思うのですが、「楽しかった」と書かれているのがすごい!子供の問題に対する学びが、きっと育児に生かされているのだろうと思います。
本の内容は、不登校等で悩む親御さんの相談がもととなっているのですが、育児をするすべての人にとって参考になることが書かれている!と思いました。いったいどんな内容なのか?印象に残っていることを紹介しますね。
子供は自分で幸せになれる
筆者は本の冒頭で、この本で伝えたいことを書いています。その1つが、「子供は自分で幸せになれる」ということです。
子供に幸せになってほしいと願うがゆえに、親は自分が良いと思う方向に子供を導こうとします。「問題だ」と考える点を改善しようと、あれやこれやと口出しをします。でも、そうしないほうが、子供は自分の力を発揮して、自分で幸せになっていくというのです。
えー!何もいわなくていいの?
この方針を聞いて、単純に私はそう思いました。どこまで口を出すべきかまで細かく書かれてはいないのですが、ここではいろいろと口出しをするということが不要であるとされているようです。
このお話しを聞いて、私は長男に対して思いあたることがありました。我が家には、小5長男、小2次男、年少長女の3児がいます。私はスポーツが好きで、子供にもスポーツをやってほしいと思っていました。でも、自宅にはゲーム好きの夫の影響でゲームがたくさんあり、長男と次男はゲーム好き。
もっとスポーツをしてほしい!
そう思った私は、野球、体操、空手などの様々な運動の習い事に、子供と一緒に体験しました。その結果、子供の希望と親の送迎の事情で、サッカーとスイミングをすることになったのです。
やった!
しかしながら、子供自身もやりたいといって始めた習い事ですが、時間が経つにつれだんだんと面白みがなくなってきたようです。サッカーもスイミングも、嫌々ながら仕方なく行く状況になってきました。
反対に、楽しんで行っているのがプログラミング教室です。プログラミングとはいっても、実際はマインクラフトというゲーム。switchというゲーム機器ではなく、パソコンでおこなう形式になっています。
結局はゲームか・・・
そう思うのですが、やはり長男は団体でわいわいやるよりも、1人でじっくりおこなうことが好きなようです。それは、思えば保育園の時から感じていたんですよね。保育園についても、みんなの輪に入るのではなく、1人で遊ぶ傾向がありました。写真を撮るときも、だいたい端っこにいます。
この本を読んでから、長男は自分で幸せになれる方向を選んでいるのに、私がいろいろ口出ししてスポーツをやらせているのだなと思うようになりました。それはそれで、長男にとって新たな気づきがあるとは思いますが、嫌々やるのは幸せであるはずがありません。(私だって嫌)
やっぱり何だって、楽しくできることが楽しい。やると楽しいメリットを伝えつつ、選ぶのは子供。そう思って、声かけはするけれども選択は任せる方針にしたいと思っています。
子育ての時間、家族としての暮らしを、親も子も楽しむことが大切
次に筆者が伝えていたのは「子育ての時間、家族としての暮らしを、親も子も楽しむことが大切」ということです。
子供をよりよく導くとか、どうすれば勉強ができる子に育つかとか、有名校に合格させるためにはどうしたらよいかなど、親は悩まなくていい、とばっさり。
えー!悩まなくていいの?!
それよりも、どうやって子供を笑わせようか、何をして一緒に楽しもうかということだけに集中して、楽に過ごしても結果は変わらない。それどころか、親も子も幸せになれる可能性がずっと高い、というのだ。
私は、どうやって子供を笑わせようかと最近考えたことがあっただろうか?振り返ってみると、思い出せない。思えば、よく次男は踊っていて、それは私を笑わせようとしているからだとわかります。「お母さんが好き」と言えるような愛のある子なので、楽しませようとしてくれているのだとわかります。
でも、私はどうだろう?ただ要件を伝えるのみで、笑わせようなんて意識したことがなかったな・・・。
そう気づいてから、ちょっと笑わせることを意識するようになりました。それはつまり、どんなことも楽しくおこなうということ。次男が踊っていたら一緒に踊ってみたり、宿題をやるときも楽しくなるような声かけをしてみたり。そうするだけで、家の中の雰囲気も明るくなったように感じています。
子供はいつか去って行くもの。今を大事に楽しもう!
この本のタイトル「去られるためにそこにいる」は、心理学者エルナ・ファーマンの論文”Mothers have to be there to be left”(母親は子どもに去られるためにそこにいなければならない)からとっているそうです。この論文に書かれていることは、筆者がずっと感じてきていたことととても合っているとのこと。親が導こうとしなくても、子供は自分の持っている力によって親離れをしていくそうです。
子供はずっと側にいるものと思いがちですが、そうではないんですよね。そして、成長するならば、よりよい人生になるようにとサポートをしたくなるものです。靴をそろえるといったしつけから、勉強や運動を推奨したりと、たくさんのことをいいたくなります。
でも、子供は自分で幸せになる力をもっています。それはそうですよね。だって、自分のことを省みれば、自分もそうだなと思います。親の指示通りに生きるのではなく、自分で幸せになろうと思って、道を選んできているのです。
ただ、中には、親が教えてくれなかったから、指導してくれなかったからこんな人生になってしまったという人もいるはずです。それは、もしも知っていたら人生が変わったかもしれないと思うと、伝えたくなる情報です。
そのため、親が知っていることは伝えた方がいいと思っています。例えば、将来の職業について、保育士などの仕事は国が給与を決めてしまっているので、どれだけパフォーマンスの良い仕事をしても、高い報酬を得ることが難しくなっています。こうした国の制度的な面は伝えて、それでも選ぶのは子供としたほうがよいのかなと思いました。
この本は、主に不登校の子供に対する親御さんの接し方として、たくさんの事例が記載されています。不登校になった理由も様々だと思うので、この本の内容がすべてよい結果をもたらすとは限りません。
それでも、親も子も幸せに暮らしていくためのヒントが多くある本だと感じました。親がリラックスしていれば、子供にもきっと伝わります。まずは親自身が暮らしを楽しむ余裕を持ち、子供を笑わせようとする気持ちをもって生活することの大切さを知ることができました。
子供とよりよい関係を築きたいと思っている方にとって、気づきの多い1冊です。ご興味あれば、是非手に取ってみてくださいね。
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