チョコベリーの暮らしをちょっと豊かにするブログ

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西加奈子さんの「サラバ!」を読みました。何のために生きているのか深く考えさせられた話

「サラバ!」の本を読みました。上、中、下巻に渡り続く、長編小説です。作者は西加奈子さん。直木賞を受賞している作品です。

 

友人がおすすめしていたのをきっかけに手に取ったのですが、本当に読んで良かった!続きが気になるためにどんどん読み進めてしまいます。あっという間に下巻までいった感じ。最後の最後で、最初とつながるから、ぜひ最後まで読んでほしい!

 

さらに、私はAmazonのAudible(オーディブル)で耳読したのですが、声があの松坂桃李さん!主人公の圷歩(あくつあゆむ)の声にぴったりで、とてもよかったです。

 

とても面白かった「サラバ!」。印象に残ったことについて紹介します。若干ネタバレの箇所がありますので、ご理解の上お読みくださいね。それでは、どうぞ!

  

 

「サラバ!」のストーリーとは?

 

「サラバ!」は、主人公の圷歩(あくつあゆむ)が、自分の生い立ちと家族について語っていくお話しです。父親の仕事の関係で、イランで生まれた歩。一旦日本に戻りますが、今度はエジプトで暮らすことになります。

 

歩には姉がいて、この姉、貴子猟奇的な性格をもって描かれています。なんで!?と思うようなびっくりすることをしているのです。母は貴子をもてあまし、父は貴子を見守るようにして生活をしていました。平穏な生活でした。

 

ところが。一通の手紙が届いたことにより、圷家は一変します。不穏な空気が流れ、父と母はケンカが絶えなくなり、とうとう離婚。歩は日本で暮らすようになります。

 

外見のよかった歩は女性に人気があり、サッカーでも活躍して輝かしい日々を送っていました。しかし、猟奇的な性格を持った姉は、宗教に傾いていきます。父は衝撃的な決断をすることで、圷家はバラバラに。

 

輝かしい学生時代を送っていた歩も、社会人になるととあることがきっかけで自信が持てなくなり、引きこもりになってしまいます。そんな歩を、世界中を旅して変わった姉が救う・・・。大まかにはこんなストーリーです。

 

歩が小さい頃を回想する形で物語は進んでいきます。そのため、普通はそんなことないでしょととか、よくそこまで覚えているなあと茶化してしまいたくなりますが、これだけ詳細に描写することで、物語がよりわかりやすく、登場人物の心情もわかるのだと思いました。

 

それぞれのシーンで、とても印象的だったことがありました。自分自身の考えを交えながら、紹介していきますね。

 

自分を守り励ます言葉は、人を勇気づける

 

主人公の歩がエジプトで暮らしているとき、エジプト人のヤコブと友人になります。ヤコブとは言葉が通じにくい状況であっても、心がつながっており、お互いに信頼し合っていました。

 

そんな2人の共通言語が「サラバ」。辛いことがあったときは「サラバ」といって励まし、勇気づけたい時に「サラバ」といって声をかける。信頼、愛情、尊敬、励まし。全てを言い表す言葉になっていたのです。

 

サラバ!

 

この言葉が出てきたとき、本のタイトルはそこからきていたのか!と納得。そして「サラバ」という言葉を私自身もつぶやいてみると、自分を守ってくれる盾のような気がしました。何かあったとき、つぶやいてみたいと思った言葉になりました。

 

人はみな、何かにすがりたいものなのだ

 

姉、貴子は学生時代に学校へ行けなくなってしまい、引きこもり生活を送っていました。ある日、その部屋に歩と母が入ってみると、なんと!そこにはとある絵が壁一面に掘られていたのです。

 

めっちゃ怖い・・・!

 

このシーンから、貴子が「猟奇的」として描かれている理由がわかります。そんな姉が、近所に住んでいた「矢田のおばちゃん」という愛称で知られるおばちゃんと仲良くなります。矢田のおばちゃんは、サトラコウモン様と呼ばれる神様を作り、それを信仰する人が自然と集まる場所を作っていました。

 

貴子もサトラコウモン様を信仰するようになり、黒い服を着てお参りをするようになります。しかし、サトラコウモン様の由来を矢田のおばちゃんから聞くことになります。それは、え!?そんな意味なの?と驚くような由来でした。

 

実際の由来があまりに拍子抜けするものだったことから、なんだそんなものなのかと思います。信仰とは、それほど実はたいしたものではないもので、でも、信じるものがあるというだけで、人は強く生きていけるものなのだということを感じました。

 

どんなに素晴らしい人生でも、将来どうなるかはわからない

 

歩は外見がよく、女性に大変人気のある学生時代を送ります。サッカーの部活に力を入れていて、とても活躍し、友人たちともそれなりにうまくやっていました。

 

しかし!社会人になり、年を重ねるにつれて、とある現象が起きていきます。それが気になって自信がなくなり、最終的には、なんと引きこもりのような生活になってしまうのです。端から見ればたいしたことはなく、そんなに気にしなくてもよいのではと思えることです。でも、そんなことでも違った人性に変わってしまうのだと思いました。

 

どんなに輝かしい学生生活を送っていたとしても、未来がどうなるかはわからない。よりよい未来にしたいと思って人は生きているわけですが、思いも寄らない出来事によって、その未来が暗雲たるものになってしまうことがあるのだと改めて痛感しました。

 

自分自身の幹は自分で見つけないといけない

 

姉、貴子は、矢田のおばちゃんが亡くなったことをきっかけに、日本を飛び出し、世界中を回る旅に出ます。そして、数年が経ち、歩が引きこもりの生活になってしまったときに、貴子が日本に帰ってきます。それも結婚していて、パートナーと一緒です。

 

日本に戻った貴子は、大きく変わっていました。今まで母と話すことは全くなかったのに、普通におしゃべりをし、しかも笑っているのです!夫はユダヤ人で、会話は英語。朝は早くから夫と一緒に外でヨガをし、菜食主義として健康的な食生活を送っていました。今までは、食事をすることもほとんどなかったのに、です。

 

そして、貴子は引きこもりになっている歩を心配し、声をかけます。私は自分の幹を見つけた。あなたは、いつも私と比べていた。あなたはあなたでしかない。そして、歩を愛している。歩きなさい、と。

 

貴子が歩を心配し、かける言葉は本当に優しくて、心に染みました。そして、人と比べるのではなく、自分自身を見つめることが大切だと教えてくれました。

 

まとめ。自分の心はどこにあるのかについて深く考えさせられる。

 

小説の始まりは、主人公の歩がお母さんから生まれてくるときに、左足から出てきたという話から始まります。このスタートが、小説の最後につながってきてびっくり!そういう意味だったのかーと思うので、是非最後まで読んでほしいです。

 

また、小説の最後は、歩自身がこの小説を書いたということで締めくくられます。小説を書いているうちに、どれが嘘でどれが本当かわからなくなったとあり、自分が男であるのかもわからないとありました。この小説を書いた西加奈子さんは女性なので、そうつながるのかー!と驚きました。

 

「サラバ!」は上、中、下と3巻もあるので、読むのが大変だと思われるかもしれません。でも、上巻、中巻、下巻とそれぞれに意味があり、欠かすことのないエッセンスが散りばめられています。よくぞここまで書いたなー!と感嘆するばかりです。読み進め、最後の下巻を読んだ後には、自分が何のために生きているのかについて、深く深く考えさせられる小説でした。

 

冒頭にお伝えしましたが、私はAmazonのAudible(オーディブル)を使って耳読をしました。耳から聞くのであれば、すき間時間に聞くことができるので、読み進めることができます。しかも、オーディブルの場合、音声は松坂桃李さん。主人公の歩の声にぴったりで、本当に聞きやすかったです。「サラバ!」を読み進めるならば、オーディブルがおすすめですよ!

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もちろん、本でも楽しめます。学びが多く、楽しめる小説です。是非手に取ってみてくださいね。

 

 

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