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「Humankind 希望の歴史」上巻を読んで気づいた人間の本質とは?

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人は本質的に善だと思いますか?悪だと思いますか?

 

そんな人間の根本について考えたのが「Humankind 希望の歴史」です。上下巻からなるかなり厚い本。経済評論家、勝間和代さんがブログで絶賛していたのを目にしたときから気になっていて、手に取ってみました。

katsumakazuyo.hatenablog.com

 

驚いたのは、そのデータ量!人の本質は善であるということを証明するために、たくさんの過去の実験結果をもう一度調べ直し、そして、おかしいのでは?と思う点について掘り下げていっているのです。

 

今回は、まずは読み終えた上巻から印象深いことを紹介したいと思います。人の本質について考えていきましょう。

  

 

「Humankind 希望の歴史」とは?

 

筆者のルトガー・ブレグマンさんは、オランダの歴史家であり、ジャーナリストです。人間は本質的には善である、ということを証明するために、様々な過去の実験や事件を取り出し、その裏側を調べ上げていきます。

 

「自己成就予言」という言葉があります。これは、信じることで真実になるということです。偽薬で病気が治るプラセボ効果というものがありますし、なんと手術でも効果があるそうです。反対に、この薬は副作用がありますと言われると、現実にそうなるだろうと著者は言います。これをノセボ効果と言いますが、人道的に試されたことはないそうです。しかし、どちらも強力な効果があるとのこと。

 

人間も同じだと筆者は言います。人間は信用できない。そう思ったら、お互いにそのような態度をとって、不利益な結果をもたらすでしょう。なぜなら「結局、人は予想通りの結果を得る」からです。

 

この言葉、すごく心に染みました・・・・。「結局、人は予想通りの結果を得る」と考えられるならば、よい人であると信じた方がいいに決まっています。これに失敗したから、私は誤った道を突き進んできたなと思うことがあるのです。今後はそうならないように、「結局、人は予想通りの結果を得る」を自分に言い聞かせていかなければと思います。

 

本を読んで印象に残った3つのこと

 

「Humankind 希望の歴史」の上巻を読んで、印象に残ったことがいろいろあります。その中でも、特に印象深かったことを3つ紹介しますね。

 

無人島で暮らした子供たちから気づく人間の体のすごさ

本の中では、様々な事例や実験結果が紹介されています。その1つが、無人島で1年以上暮らした6人の子供たちです。8日間食料もなく漂流してしまい、アタ島という無人島で1年間以上過ごしていたという驚きの事実が記載されていました。ここでは、6人でルールを作り、社会的制度の下に暮らしていたので、人間は協調して暮らしていけると書かれています。

 

そんな中で印象的だったのが、救出されたときのエピソードです。まだ救出される前、生活する中で、1人の子どもが崖から落ちて骨折しました。みんなで救い上げ、医師も薬もないので、じっとさせて過ごしていたそうです。

 

1年後に救出されて、医師が診察したときには、そのあまりの健康な状態に驚いたそうです。骨折をした子の怪我も、通常に戻っていたというのだから驚きです。たまたま複雑な骨折ではなかったのかもしれませんが、人間の体の修復力はすごいと感じました。安全な家の中でゆっくり食べてばかりの生活より、自然の中で暮らした方が健康かも知れないと感じたエピソードでした。

 

人間の体の修復力に驚嘆!

 

ミルグラム実験からわかる本当の人の本質

有名なミルグラム実験という実験があります。これは、閉鎖的な状況において、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものです。実験者は、命令者の指示に従って、電流が流れるボタンを押すように指示されます。このボタンは、隣室にいる回答者に対して流れるようになっており、だんだんと電流が高くなるボタンがになります。最後は、死に至るような高い電流が流れます。

 

しかし、実際には電流は流れていません。隣室の回答者は、うめき声や叫び声の演技をします。このような状況の中で、実験者は命令者の指示に従って、どれだけ高い電流ボタンを押せるかという実験です。今では人道的に考えられないような実験ですが、このような実験が実際におこなわれたようです。

 

実験の結果、6割近い人が高い電流ボタンを押したそうです。この実験からわかることは、人は権威者による命令に従うということ。ほとんどの人が、命令者の指示に従ってボタンを押したのです。

 

この実験に対して、筆者は調べておかしなところを見つけます。実は、実験者に対して、台本通りに動こうとしないと、プレッシャーが与えられたようなのです。実験を終えた被験者に、あなたの貢献は科学に役立つだろう、と伝えると、多くは安堵の表情を浮かべたといいいます。

 

このことから、「多くの人に悪事を働かせるには、それが善行であるかのように偽装しなければならない」と筆者は言います。この言葉は、すごく納得しました。自分を納得させるだけの理由がないと、やはり悪の行いはしにくいのだと思います。

 

人が悪事をおこなうには、善行のような理由が必要

 

キティ・ジェノヴィーズ事件からわかるマスコミの報道事情

1964年ニューヨークで殺人事件が起きました。キティ・ジェノヴィーズは仕事の帰宅途中、暴漢に刺されました。夜中に悲鳴が聞こえたが、近所の住人はだれも警察に通報しなかったと報道され、大きな話題を呼んだそうです。傍観者が多いと、人は行動しなくなる。これを傍観者効果といいます。これは本当だろうかと筆者は調べます。

 

その結果、傍観者が互いに話せる状況にあれば、「傍観者の数が増えると、救助の可能性は減るのではなく、増える」 という研究結果がわかったそうです。このときの事件は、マンションで部屋が区分けされていて、隣が見えない状況にありました。隣の人が見えていれば、状況は変わったのかもしれません。

 

また、実際には、ジェノヴィーズさんの隣人が、悲鳴を聞いてから現場に駆けつけています。暴漢がまだいるかもしれないのに、です。このことを、記者からのインタビューで隣人は答えましたが、なんと一切ニュースにはならなかったそうです。

 

このことから、マスコミはセンセーショナルなニュースばかりを報道し、よかったことや勇敢だった事実は報道しない傾向があることがわかります。ニュースの内容にも気をつけなければと改めて思いました。

 

マスコミのニュースには要注意・・・

 

人間は善であると希望することで、それが真実になる

 

本書では、他にも、スタンフォード監獄実験、イースター島やトマス・ホッブズとジャック・ルソーといった哲学者の話も掲載されています。幅広い事例から、人間の本質は善なのかどうかを考えています。

 

ただ、私がちょっと考えてしまうのは、人間の本質は、善であるという見方をすると、なんでも善のようにみえるのではないかということです。これだけ人間の本質は善であるという理由があっても、この調査は本当だろうかと考えてしまう私がいました。そして、実際に確認してみて、その調査は嘘ではないということがわかりました。

 

つまり、善だと思って調べれば善となる理由が見つかるし、悪だと思えば悪だと思えるものが見つかる。最初に話していたその通りなのではないかなと思いました。「結局、人は予想通りの結果を得る」ということにつながりますね。

 

さて、下巻も読む予定です。一体どんな主張がなされるのか、楽しみです!人間が善か、悪か。興味深い実験結果がたくさんあります。是非手に取ってみてくださいね。

 

 

 

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